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飼育下のクロサイ繁殖に関する研究

6年がかりで動物園から集めた
約1万個のクロサイ♀の糞から、
よく繁殖するメスと繁殖しないメスの
違いが研究された。

参照記事 :
1.Rhino Reproduction Could Get Boost from Hormone Tests.
2.Hormone Analysis Helps Horny Rhinos
3.reproductive success in female eastern black rhinoceros


ヨーロッパの動物園でのクロサイの繁殖率は低い。
一度も繁殖できないサイもいれば、簡単に繁殖するサイも
いるのは、なぜなのだろうか?

と、イギリスの研究者らが、メスのクロサイ39頭について
詳細な研究をおこなった。

研究リーダーのリバプール大学のケーティー・エドワーズ博士
によると、研究はまず糞を集めることから始められた。

ヨーロッパの11動物園から、6年4ヶ月にわたり
1日おきに糞のサンプルを集めたのである。

対象となった39頭のメスサイの内訳は、
17頭が妊娠経験あり、15頭が妊娠経験なし、
7頭が、繁殖年齢に達していないものである。

イギリスのチェスター動物園に集められた
合計 9,743個のサンプルのホルモン値を測定して
サイの繁殖サイクルが研究された。


黄体ホルモン代謝濃度の測定からは、
すべての繁殖経験のないメスは卵巣の活動性はあるが、
排卵周期が不規則、ということが判明。

また繁殖していないメスは、オスを受けるタイミングが
来ていることが分かりにくく、それが動物園での繁殖準備を
難しくしている。

しかし、ホルモン分析をすることで、メスに外的兆候が
なくても、メスがオスを性的に受け入れるタイミングを
知ることができる。

実際、それによって、チェスター動物園では、
この3年間に3頭のクロサイが誕生している。

ホルモン分析以外の、繁殖を成功させる要因も
研究され、繁殖経験のないメスの方が、繁殖経験の
あるメスより体重が重いことも明らかになった。

飼育下では、適切なダイエットも繁殖の成功に
重要だ、と言える。

繁殖経験のないメスの方が、気質にムラがあることも
判明。それは糞中の糖質コルチコイドが高いことと
相関関係があることも判明した。


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photo(C):Chester Zoo


野生のクロサイが密猟によって絶滅の危機に瀕している
現在、飼育下での繁殖はより重要な課題となっている。

以下、参照記事2より、原文一部引用 :
We established the project to understand why some individuals breed well, while others do not. The idea is that with a better understanding of factors that affect reproduction, we know where we should be focusing our efforts to support the European-wide breeding programme for this critically endangered species."

by sainomimy | 2014-09-10 15:58 | ヨーロッパの動物園 | Comments(0)